暗鬱な天気の下
傘は様々な方へ動いている
帰路、友人、仕事
私はその流れを見ていた
私もこの一杯の珈琲を飲み干したあと
あの傘の一本になる
誰かを貧しくさせないかぎり
哀憐の居場所はなくなろう
みんながわれらのように幸福であれば
慈悲は居るにも居られなくなる
互いのおそれが平和をもたらし
そのためいよいよ利己愛がつのる
そして残忍はわなを編み
注意深くそのおびき餌をひろげる
残忍は恐怖を聖化して坐りこみ
涙ながし地上をうるおす
えたりかしこしと謙遜は残忍の足もとに
ふかぶかと根をおろす
やがて暗鬱な神秘の木が
残忍な頭上に枝をはりめぐらし
毛虫と蠅が
この神秘を食ってふとる
ついにそれは欺瞞の実をむすぶ
赤く熟れていて食えばうまい
そのうち渡り烏が巣をかけた
最もよく茂ったくらがりに
山と海の神神たちはこの木を求めて
くまなく自然界を探しまわった
しかしかれらの探索はすべて空しい
人間の脳髄にこの木が一本生えている
ブレイク詩集 彌生書房
喫茶店での時間というものは、ただ本を読んだり、煙草を吸ったりするだけなのに、価値のある時間だったように感じられる。
きっと、自宅でただ過ごす時間や孤独感に耐えかねる。
しかし何をするでもない、何をしたいわけでもないから喫茶店に向かうわけだね。
ぼくは喫茶店で読む本と平素読む本と、じっくり読む本を分けている。
喫茶店なんかだと、エッセイがいい。短いものの連続がいい。伊丹十三なんか鞄に入れておけば、もう十分だ。
でもきっと出かける前には、鞄にあれもこれも本をつめて思う。
こんなに読めるはずがないと、全くその通りである。
真剣に本なんか読まない、少ししたらスマートフォンでも取り出す。
それでもいい。読まない本をいれて馬鹿みたいに重い鞄に、嫌になってもいい。
さて、喫茶店は当たり前だけど冷房が入っている。つよすぎる風なんかあると店から飛び出したくなる。
僕は煙草の煙が風に妨害されずに天井に届くような場所じゃなきゃ嫌だ。
1日に何件も喫茶店を回る。お冷やを飲む、コーヒーを飲む、お冷やを飲む、コーヒーを飲む。
こんなだから、後半はトイレを借りたくて喫茶店を回っているようなものだ。
都内のコーヒーが美味い店、煙草が美味い店、ありましたら教えてください。